A型を利用するまでの流れ
公開: 更新:
「就労継続支援A型で働いてみたいけれど、何から始めればいいのか分からない」
「事業所から『受給者証が必要』と言われたけれど、どうやって取得するの?」
このような疑問や不安をお持ちではありませんか?
就労継続支援A型(以下、A型)は、事業所と雇用契約を結び、給与を受け取りながら働く障害福祉サービスです。
一般的なアルバイトやパートと同じように採用選考がありますが、それに加えて、お住まいの自治体から障害福祉サービスの「支給決定」を受け、「障害福祉サービス受給者証(以下、受給者証)」の交付を受ける必要があります。
初めての場合は複雑に感じられるかもしれませんが、自治体の窓口や相談支援専門員、利用を希望する事業所などに相談しながら進めることができます。
この記事では、初めてA型の利用を検討されているご本人やご家族に向けて、見学・相談から受給者証の申請、利用開始までの流れを分かりやすく解説します。
就労継続支援A型を利用するには何が必要?
手続きの流れを見る前に、まずはA型の基本的な仕組みと、利用に必要な「受給者証」について確認しておきましょう。
A型は雇用契約を結んで働く障害福祉サービス
A型事業所は、障害や体調面などの理由から一般企業で働くことが難しい方に、雇用契約に基づく働く機会と、就労を継続するために必要な支援を提供する障害福祉サービスです。
一般的なアルバイトやパートと異なるのは、「労働者としての雇用」と「障害福祉サービスの利用」という2つの側面を併せ持っている点です。
雇用の側面
事業所と雇用契約を結び、実際の業務に取り組みます。労働関係法令が適用され、原則として最低賃金以上の給与を受け取りながら働きます。
福祉サービスの側面
障害特性や体調に応じて必要な支援を受けながら、仕事に必要なスキルや働き方を身につけていきます。また、本人の希望や状況に応じて、安定した就労の継続や、一般企業への就職についても考えていきます。
A型では、この両方の側面があるため、事業所の採用選考だけでなく、自治体による障害福祉サービスの支給決定が必要となります。
※じぶんスペースの仕事内容や支援内容については、お仕事内容・働き続けるための支援でもご紹介しています。
利用には障害福祉サービス受給者証が必要
A型を利用するために必要となるのが「障害福祉サービス受給者証」です。
受給者証とは、自治体が障害福祉サービスの利用について支給決定を行ったことを示す書類です。
受給者証には、主に次のような内容が記載されています。
- 利用できる障害福祉サービスの種類
- 1か月に利用できる日数などの支給量
- 支給決定の有効期間
- 利用者負担の上限月額
受給者証は事業所が発行するものではなく、原則としてお住まいの市区町村へ申請し、支給決定を受けて交付されます。
障害者手帳と受給者証の違い
よく混同されますが、「障害者手帳」と「受給者証」は別のものです。
障害者手帳
身体障害者手帳、療育手帳(名古屋市では愛護手帳)、精神障害者保健福祉手帳など、障害の状態や程度を公的に証明するものです。
障害福祉サービス受給者証
障害福祉サービスについて、自治体が決定した利用内容や支給量、有効期間などを確認するためのものです。
なお、障害者手帳をお持ちでなくても、障害や疾患の状況を確認できる医師の診断書等により、自治体が利用対象であると判断する場合があります。
手帳を持っていないという理由だけで利用を諦めず、まずはお住まいの自治体に相談してみましょう。
就労継続支援A型の利用開始までの流れ
A型の利用開始までの流れを、6つのステップで紹介します。
STEP1|事業所を探して見学・相談する
↓
STEP2|応募・面接を行い、利用について相談する
↓
STEP3|自治体の窓口で障害福祉サービスを申請する
↓
STEP4|サービス等利用計画案を作成する
↓
STEP5|支給決定を受け、受給者証が交付される
↓
STEP6|事業所と契約し、利用を開始する
これは一般的な流れを分かりやすく整理したものです。
実際には、自治体への相談・申請を先に進める場合や、相談支援事業所との調整と事業所の選考を並行して進める場合もあります。
また、暫定支給決定が行われる場合は、利用開始後に継続利用についての確認が行われます。
STEP1|事業所を探して見学・相談する
まずは、ご自身に合いそうなA型事業所を探し、見学や相談に行ってみましょう。
A型事業所によって、仕事内容や勤務時間、職場の環境、支援体制は異なります。
例えば、次のような点を確認してみるとよいでしょう。
- 自分が無理なく通える立地・環境か
- 希望する勤務日数や時間と合っているか
- 興味のある仕事内容や、取り組めそうな業務があるか
- 職場の雰囲気や職員のサポート体制が自分に合っているか
- 体調や障害特性について、どのような相談ができるか
見学は、事業所が利用希望者を確認する場であると同時に、利用希望者が自分に合う職場かどうかを判断する機会でもあります。
「まだ利用するか決めていない」「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、見学を受け付けている事業所があります。
事前に確認したうえで、ご家族や支援者の方と一緒に見学することも検討してみましょう。
STEP2|応募・面接を行い、利用について相談する
利用してみたい事業所が決まったら、応募や採用面接へ進みます。
A型は雇用契約を結んで働くため、一般的な就職活動と同様に、面接などの採用選考が行われます。
A型の求人はハローワークに掲載されていることも多く、ハローワークで相談し、紹介状を発行してもらって応募するケースがあります。
応募方法は事業所によって異なるため、事前に確認しましょう。
面接では、これまでの職歴や得意なことだけでなく、現在の体調、仕事をするうえで必要な配慮、希望する働き方などについても確認されます。
無理に「何でもできます」と伝える必要はありません。
できることや難しいこと、働くうえで心配していることを整理して伝えることが、就労開始後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
また、受給者証をお持ちでない場合は、自治体への申請時期や相談支援事業所との連携についても確認しておきましょう。
なお、採用選考で受け入れの見込みが立った場合でも、それだけで障害福祉サービスの利用が決定するわけではありません。自治体による支給決定が別途必要です。
STEP3|自治体の窓口で障害福祉サービスを申請する
A型の利用を希望する場合は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で、障害福祉サービスの利用申請を行います。
名古屋市の場合は、次の窓口が担当します。
- お住まいの区の区役所福祉課
- 支所管内にお住まいの方は支所区民福祉課
窓口では、A型を利用したいことを伝え、必要な手続きについて案内を受けます。
申請後は、本人の障害の状況や生活環境、サービスの利用希望などについて、自治体による聞き取りや調査が行われます。
障害支援区分の認定について
A型は「訓練等給付」に位置づけられており、原則として障害支援区分の認定は必要ありません。
ただし、これは自治体による調査そのものが不要という意味ではありません。
名古屋市では、A型などの訓練等給付についても必要な認定調査を行いますが、原則として審査会による障害支援区分の認定は行わない取扱いとなっています。
STEP4|サービス等利用計画案を作成する
障害福祉サービスの利用申請では、「サービス等利用計画案」の提出が必要です。
これは、本人がどのような生活や就労を希望し、そのためにどのような福祉サービスを利用するのかを整理した計画書です。
計画案の作成は、「指定特定相談支援事業所」の相談支援専門員に依頼することができます。
相談支援専門員は、ご本人の希望や困りごとを聞き取り、必要に応じて事業所や関係機関と調整しながら、本人と一緒に計画を考えます。
また、相談支援事業所を利用せず、ご本人やご家族が「セルフプラン」として計画案を作成する方法もあります。
ただし、初めて障害福祉サービスを利用する場合は、相談支援専門員と一緒に希望や課題を整理することも一つの選択肢です。
相談支援事業所の利用には調整が必要な場合もあるため、早めに相談しておくとよいでしょう。
STEP5|支給決定を受け、受給者証が交付される
申請内容やサービス等利用計画案、本人の状況などを踏まえて、自治体が障害福祉サービスの支給決定を行います。
支給決定後は、受給者証が交付されます。
受給者証が届いたら、次の項目を確認しましょう。
- 利用するサービスの種類が「就労継続支援A型」になっているか
- 支給量が希望する利用内容と合っているか
- 支給決定の有効期間
- 利用者負担の上限月額
記載内容について分からない点がある場合は、自治体や相談支援専門員に確認しましょう。
また、支給決定の内容を踏まえ、サービス等利用計画案から正式なサービス等利用計画が作成されます。
STEP6|事業所と契約し、利用を開始する
必要な支給決定を受け、事業所との調整が整ったら、契約手続きを行い、利用開始となります。
A型では、主に次の2つの契約について確認します。
障害福祉サービスの利用契約
サービス内容や支援体制、利用上のルール、利用者負担などについて、重要事項説明書や利用契約書で確認します。
雇用契約
勤務日数、労働時間、給与、業務内容、休日などの労働条件を確認します。
それぞれの内容について説明を受け、納得したうえで契約を結ぶことが大切です。
また、勤務開始後も、本人の状況に応じた個別支援計画に基づき、職員と相談しながら仕事を進めていきます。
暫定支給決定とは?
A型では、利用開始時に「暫定支給決定」が行われる場合があります。
暫定支給決定とは、本人が継続してサービスを利用する意向があるか、利用するサービスが本人にとって適切かどうかを確認するため、一定の期間を設けて行われる支給決定です。
期間は2か月以内の範囲で、自治体が個別の状況を踏まえて設定します。
この期間中に、事業所は実際の利用状況などを確認・評価し、本人の希望も踏まえて、継続利用について検討します。
その結果をもとに、自治体が継続して利用することの適否を判断します。
なお、すでに他のサービス等で十分なアセスメントが行われている場合など、自治体の判断によって暫定支給決定が省略されることもあります。
暫定支給決定の有無や具体的な手続きについては、利用する自治体や事業所に確認しましょう。
相談支援事業所とは?どんな支援を受けられる?
A型の利用手続きを進めるうえで、相談先の一つとなるのが「相談支援事業所」です。
初めて福祉サービスを利用する方にとっては、聞き慣れない名称かもしれません。
相談支援事業所は、障害のある方が必要な福祉サービスを利用しながら、自分らしい生活を送れるように、相談や調整を行う事業所です。
相談支援専門員はどんなことをしてくれる?
相談支援事業所に所属する「相談支援専門員」は、本人の希望や状況を整理し、行政やサービス事業所などの関係機関と連携する役割を担っています。
主に次のような支援を行います。
希望や困りごとの整理
どのような働き方をしたいのか、生活面や体調面でどのような不安があるのかなどを一緒に整理します。
サービス等利用計画案の作成
本人の希望や必要な支援を踏まえて、自治体に提出する計画案を作成します。
関係機関との連絡・調整
自治体やA型事業所などと連携し、必要なサービスを利用できるよう調整します。
利用開始後の状況確認(モニタリング)
利用開始後も定期的に状況を確認し、必要に応じてサービス等利用計画の見直しなどを行います。
なお、指定特定相談支援事業所が提供する計画相談支援には、利用者の自己負担はありません。
相談支援事業所を利用していない場合はどうする?
現在、相談支援事業所を利用していない方も、自治体や地域の相談窓口に相談できます。
名古屋市の場合は、次のような窓口があります。
- お住まいの区の区役所福祉課
- 障害者基幹相談支援センター
- 指定特定相談支援事業所
また、利用を希望するA型事業所に、相談支援事業所の探し方について相談してみるのもよいでしょう。
相談支援事業所には受け入れ状況や対応地域などの違いがあるため、すぐに担当が決まるとは限りません。
利用を検討し始めた段階で、早めに相談先を探しておくことをおすすめします。
受給者証の申請前に確認しておきたいこと
申請をスムーズに進めるために、必要となる書類や手続きにかかる期間についても確認しておきましょう。
申請時に必要な書類や情報
障害福祉サービスの申請に必要な書類は、自治体や本人の状況によって異なります。
主に、次のようなものについて確認される場合があります。
1. 障害や疾患の状況が確認できる書類
- 障害者手帳
- 医師の診断書や意見書
- 自立支援医療受給者証
- その他、障害や疾病の状況を確認できる資料
※これらをすべて提出するという意味ではありません。障害の種類や状況に応じて、必要な資料が異なります。
2. 本人確認・個人番号に関する書類
- マイナンバーカードなど、自治体が指定する本人確認・番号確認書類
3. 所得状況を確認するための情報
- 所得や課税状況を確認できる資料など
※利用者負担額の算定に必要な場合があります。自治体が情報を確認できる場合は、書類の提出が省略されることもあります。
4. 障害福祉サービスの支給申請書
自治体が定める申請書に、必要事項を記入します。
必要な書類を自分だけで判断する必要はありません。
特に、障害者手帳をお持ちでない場合は、どのような書類で確認できるか、自治体の窓口に相談しましょう。
申請から利用開始まで、どれくらいかかる?
受給者証の申請から交付までにかかる期間は、自治体や個別の状況によって異なります。
また、実際に働き始めるまでには、事業所の見学・面接、相談支援事業所との調整、必要書類の準備などにも時間がかかります。
特に、初めて障害福祉サービスを利用する場合は、相談先を探すところから始めることもあるでしょう。
「〇月から働き始めたい」という希望がある場合は、できるだけ早い段階で事業所や自治体窓口に相談し、必要な手続きとスケジュールを確認しておくことをおすすめします。
A型の利用手続きについて、よくある質問
Q. 障害者手帳がなくてもA型を利用できますか?
A. 障害者手帳をお持ちでなくても、自治体の判断により利用できる場合があります。
障害の状況を確認できる医師の診断書等により、障害福祉サービスの利用対象と認められる場合があります。
ただし、診断書があれば必ず利用できるというわけではありません。
必要な確認書類や利用要件は個別の状況によって異なるため、まずは自治体の障害福祉担当窓口へご相談ください。
Q. 受給者証を持っていなくても、見学や応募はできますか?
A. 受給者証の取得前でも、見学や相談は可能です。
A型の利用を初めて検討する方の中には、受給者証を持っていない方もいらっしゃいます。
見学や応募の受付方法は事業所によって異なりますが、じぶんスペースでは受給者証の取得前でも見学・利用相談を受け付けています。
実際に利用を開始するまでに、必要な手続きを進めていきましょう。
Q. 相談支援事業所を利用していない場合でも申請できますか?
A. はい、申請することは可能です。
ただし、障害福祉サービスの支給決定には、サービス等利用計画案の提出が必要です。
相談支援専門員に作成を依頼する方法のほか、ご本人やご家族がセルフプランを作成する方法もあります。
どの方法が適しているか、自治体窓口などに相談しながら進めましょう。
Q. 他の障害福祉サービスを利用している場合はどうなりますか?
A. 利用中のサービスとの組み合わせによって異なります。
例えば、就労移行支援や就労継続支援B型など、日中活動系サービスについては、同じ日に複数のサービスを利用することは原則としてできません。
一方、グループホーム(共同生活援助)や居宅介護(ホームヘルプ)など、生活面を支えるサービスと組み合わせて利用できる場合もあります。
実際に併用できるかどうかは、利用するサービスの内容や支給決定、本人の状況などによって異なります。
すでに利用している障害福祉サービスがある場合は、自治体や相談支援専門員に確認しましょう。
Q. A型を利用する前に「就労選択支援」を受ける必要がありますか?
A. 2026年10月現在、新たにA型を利用するすべての方に、就労選択支援の利用が原則として求められているわけではありません。
「就労選択支援」は、本人の希望や就労能力、適性などを整理し、よりよい働き方や就労先を選択できるよう支援する障害福祉サービスです。
2025年10月に開始され、2027年4月からは、新たにA型を利用する方についても、原則として就労選択支援によるアセスメントが必要となる予定です。
ただし、例外的な取扱いが設けられる場合もあるため、具体的な要件については、利用を検討する時点の最新の制度や自治体の案内を確認しましょう。
※そのほかの疑問については、FAQ(よくある質問)もご覧ください。
まずは事業所の見学・相談から始めてみましょう
就労継続支援A型を利用するためには、事業所への応募や面接だけでなく、自治体への申請、サービス等利用計画案の作成、受給者証の交付など、いくつかの手続きが必要です。
初めての場合は難しく感じられるかもしれませんが、一度にすべてを理解したり、自分だけで手続きを進めたりする必要はありません。
自治体や相談支援専門員、事業所などに相談しながら、一つずつ確認していきましょう。
そして、手続きと同じくらい大切なのが、「自分に合った仕事や働き方ができる場所かどうか」を知ることです。
仕事内容や勤務条件、職場の雰囲気、必要な支援などを確認し、自分が働く姿を少しずつ具体的に考えていきましょう。
じぶんスペースでは見学・利用相談を受け付けています
名古屋市中区の就労継続支援A型事業所「じぶんスペース」では、見学や利用相談を受け付けています。
じぶんスペースは、雇用契約を結んで実際の仕事に取り組みながら、自分に合った働き方や、その先の働き方についても考えていく職場です。
PC・事務、Web・文章制作、動画編集、EC・商品管理など、さまざまな業務に取り組んでいます。
「どんな作業をしているのか見てみたい」
「自分の体調やペースで働けるか相談したい」
「受給者証の手続きについて、何から始めればよいか知りたい」
こうしたご相談も受け付けています。
ご本人だけでなく、ご家族や支援機関・医療機関の方の同席も可能です。
利用を決める前でも構いません。
まずは実際の職場を知り、自分に合った働き方を考えるところから始めてみませんか。
※この記事は2026年10月時点の制度をもとに作成しています。障害福祉サービスの支給決定や必要書類、手続きの詳細は自治体や個別の状況によって異なる場合があります。最新の取扱いについては、お住まいの自治体にご確認ください。
