A型と就労移行支援の違い
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「就労継続支援A型と就労移行支援は何が違うの?」
「今すぐ給与をもらいながら働きたいけれど、将来は一般企業への就職も目指したい」
「一般就労を目指すなら、就労移行支援を選んだ方がよいの?」
これからの働き方を考えるとき、就労継続支援A型(以下、A型)と就労移行支援のどちらを利用すればよいか、迷われる方もいるのではないでしょうか。
どちらも障害者総合支援法に基づく「就労系障害福祉サービス」ですが、主な目的や日々の活動内容、給与の有無、利用できる期間に違いがあります。
- 就労継続支援A型:原則として雇用契約を結び、実際の仕事に取り組みながら、安定して働き続けるための支援を受けるサービス
- 就労移行支援:一般企業等への就職を目指し、必要な訓練や職場実習、就職活動の支援を受けるサービス
ただし、「一般就労を目指すなら必ず就労移行支援を選ばなければならない」「A型からは一般就労を目指せない」というわけではありません。
A型で実務経験を積みながら、一般企業への就職を目指す方もいます。
この記事では、A型と就労移行支援の制度上の違いから、給与、仕事内容、利用期間、就職支援の内容まで比較し、ご自身に合ったサービスを考えるためのポイントを解説します。
ひと目でわかるA型と就労移行支援の違い一覧
まずは、2つのサービスの主な違いを比較表で確認してみましょう。
| 比較項目 | 就労継続支援A型 | 就労移行支援 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 支援を受けながら継続して働く | 一般企業等への就職に向けて準備する |
| 雇用契約 | 原則あり | 原則なし |
| 受け取るお金 | 給与(原則として最低賃金以上) | 原則として給与なし。生産活動による工賃が発生する場合あり |
| 主な活動 | 実際の業務・生産活動 | 職業訓練・企業実習・就職活動 |
| 利用期間 | 一律の利用期間上限なし | 標準2年間。必要性が認められた場合は延長可能 |
| 利用対象 | 支援を受けながら雇用契約に基づき継続して働ける方 | 一般就労を希望し、必要な支援によって就職が見込まれる方 |
| 一般就労 | 本人の希望や状況に応じて目指せる | 就職が中心的な目標 |
| 利用料 | 所得に応じた負担上限月額あり | 所得に応じた負担上限月額あり |
| 受給者証 | 必要 | 必要 |
※上記は一般的な制度上の比較です。具体的な業務・訓練内容や支援体制は、事業所によって異なります。
また、どちらも障害福祉サービスであるため、希望すれば必ず利用できるわけではありません。
それぞれの利用要件や、本人の状況に応じた自治体の支給決定が必要です。
A型と就労移行支援の最大の違いは「働く目的」
A型と就労移行支援の大きな違いは、**「何を目的として利用するサービスなのか」**という点にあります。
A型は雇用契約を結び、実際の仕事に取り組むサービス
A型は、一般企業等での就労が難しい状況にある方が、必要な支援を受けながら、原則として事業所と雇用契約を結んで働くサービスです。
雇用契約を結ぶ利用者には、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が適用されます。
企業から受託した業務や、自社で提供する商品・サービスの生産活動など、実際の仕事に取り組み、その対価として給与を受け取ります。
一方で、A型は単なる雇用の場ではありません。
職業指導員や生活支援員などの職員による支援を受けながら、仕事の進め方や体調管理、報告・連絡・相談など、働き続けるために必要な力を身につけていくことも大切な役割です。
また、本人の希望に応じて、一般企業への就職を目指すこともできます。
ただし、すべての方が一般就労を目指さなければならないわけではありません。A型で安定して働き続けることも選択肢のひとつです。
就労移行支援は一般企業への就職を目指すサービス
就労移行支援は、一般企業等への就職を希望する障害のある方に対して、就職に必要な訓練や支援を提供するサービスです。
A型とは異なり、原則として利用する事業所との雇用契約は結びません。
就職に向けて必要な知識や能力を身につけ、自分に合った職場を探し、実際の就職活動を進めることが中心となります。
例えば、次のような支援があります。
- パソコン操作や事務スキルなどの職業訓練
- ビジネスマナーやコミュニケーションの練習
- 自分の得意・不得意や必要な配慮の整理
- 企業での職場実習
- 求人探しや応募書類の作成
- 面接練習や就職活動の支援
実際の訓練内容やカリキュラムは事業所によって異なります。
なお、就労移行支援を利用したからといって、必ず一般企業に就職できるというわけではありません。
本人の希望や適性、就職活動の状況などを踏まえながら、就職を目指していくサービスです。
A型と就労移行支援では仕事内容や支援内容がどう違う?
A型と就労移行支援では、日々の活動や受けられる支援の重点にも違いがあります。
A型では仕事そのものが経験や成長の機会になる
A型事業所では、実際の業務に取り組むことが日々の活動の中心になります。
例えば、次のような仕事があります。
- 企業から依頼されたデータ入力や記事制作
- 納期のある商品の検品・梱包
- Webサイトの更新や動画編集
- 決められた手順に沿った清掃・製造作業
実際の仕事であるため、作業の正確さや品質、納期、報告・連絡・相談なども大切になります。
ただし、最初からすべての業務を一人で完璧に進めることが求められるわけではありません。
職員から作業方法の説明を受けたり、手順を確認したりしながら、必要なスキルを身につけていきます。
また、業務を通じて、自分の得意なことや苦手なこと、負担になりやすい状況などを知ることもできます。
実際の仕事に取り組みながら、必要な支援を受けて働き続けることが、A型の大きな特徴です。
就労移行支援では就職に向けた訓練や企業実習を行う
就労移行支援では、本人の就職希望や課題に合わせて、訓練や就職活動を進めます。
主な支援内容には、次のようなものがあります。
基礎スキルの習得
Word・ExcelなどのPC操作、ビジネスマナー、電話対応、コミュニケーションなどを学びます。
自己理解とセルフケア
得意・不得意や障害特性を整理し、体調管理やストレスへの対処方法、必要な配慮などを考えます。
企業実習
実際の企業で業務を体験し、仕事内容や職場環境との相性、必要な配慮などを確認します。
就職活動の支援
ハローワークや関係機関と連携し、応募書類の作成や面接練習、求人応募などを進めます。
これらの訓練や支援を通じて、一般企業で働くための準備を進めていきます。
なお、事業所によっては、実際の生産活動や企業からの受託業務を訓練に取り入れている場合もあります。
同じPC作業でも目的が異なる場合がある
例えば、A型と就労移行支援の両方で「データ入力」を行っている場合を考えてみましょう。
A型の場合:実務としてのデータ入力
企業から依頼されたデータを、決められたルールに沿って入力し、納期までに納品する仕事を想定します。
作業の正確さや進捗管理、報告・連絡・相談などが求められます。
入力ミスが発生した場合には、必要な修正を行うとともに、同じミスを繰り返さないための確認方法も考えます。
就労移行支援の場合:訓練としてのデータ入力
就職に必要な入力スキルや作業速度、集中力、確認方法などを身につけるための訓練を想定します。
例えば、入力速度や正確さを確認したり、一定時間集中して作業できるかを試したりします。
ミスが発生した場合には、その原因を振り返り、自分に合った作業手順や確認方法を考えることもあります。
ただし、A型では振り返りや訓練を行わない、就労移行支援では実際の仕事を行わない、というわけではありません。
どちらも本人の能力向上を支援しますが、中心となる目的や活動の位置づけが異なります。
A型と就労移行支援では給与がもらえるかどうかが違う
A型と就労移行支援を比較する際、生活設計に関わる大きな違いが給与の有無です。
A型では最低賃金以上の給与が原則として支払われる
A型では原則として雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給与が支払われます。
実際の月収は、時給や勤務時間、勤務日数などによって異なります。
例えば、愛知県の地域別最低賃金は、2026年10月1日から時給1,195円となっています。
この時給で、1日4.5時間・月20日勤務した場合の基本給は、次の計算になります。
1,195円 × 4.5時間 × 20日 = 107,550円
※各種手当や税金・保険料の控除、有給休暇の賃金などを含まない、額面の計算例です。
このように、A型では実際の仕事に取り組みながら、毎月の給与を受け取ることができます。
一方、給与の金額だけでなく、勤務条件や仕事内容が現在の自分に合っているかを確認することも大切です。
※詳しい給与の計算方法や手取り額については、就労継続支援A型の給料はいくら?で解説しています。
就労移行支援では原則として給与は支払われない
就労移行支援は、一般企業等への就職に向けた訓練や支援を提供するサービスです。
原則として利用先の事業所とは雇用契約を結ばないため、利用していることに対して給与が支払われるわけではありません。
ただし、事業所が生産活動を実施している場合には、その活動に対して工賃が支払われることがあります。
工賃の金額は、生産活動の内容や収益状況、事業所の取扱いなどによって異なります。
そのため、就労移行支援を利用する場合は、利用期間中の生活費についても考えておく必要があります。
例えば、現在の貯蓄や障害年金等の受給状況、家族からの支援など、利用できる収入や生活資金を確認しておくとよいでしょう。
なお、就労移行支援を利用しながらアルバイトなどを行うことについては、一般就労中の方が一定の条件下で利用できる場合もありますが、自由に併用できる制度ではありません。
就労状況や利用目的に応じて個別の判断が必要となるため、自治体や相談支援専門員に確認しましょう。
どちらも利用料が発生する場合がある
A型と就労移行支援は、どちらも障害福祉サービスです。
そのため、所得状況に応じて、利用者負担額(利用料)が発生する場合があります。
ただし、所得区分に応じた負担上限月額が定められており、生活保護世帯や住民税非課税世帯の場合は、障害福祉サービスの利用者負担上限月額が0円です。
また、18歳以上の障害者については、原則として本人と配偶者の所得状況をもとに判定されます。
※利用料の仕組みについては、就労継続支援A型の利用料はいくら?で詳しく解説しています。
利用期間はどれくらい?A型と就労移行支援の違い
A型と就労移行支援では、利用できる期間の考え方も異なります。
A型には原則として一律の利用期間上限がない
就労継続支援A型には、すべての利用者に共通する「通算2年間まで」などの一律の利用期間上限は設けられていません。
そのため、本人の希望や状況、利用要件などを踏まえて、継続して働くことができます。
ただし、利用期間に一律の上限がないことと、無条件で何年間でも働けることは別です。
自治体による障害福祉サービスの支給決定には有効期間があり、必要に応じて更新手続きが行われます。
また、雇用契約の内容や勤務状況、本人の健康状態なども関係します。
A型で安定して働き続けることも、本人の希望や状況に応じた選択肢のひとつです。
就労移行支援の標準利用期間は2年間
就労移行支援では、標準利用期間が2年間と定められています。
その期間の中で、本人の希望や課題に応じて、就職に必要なスキルの習得、自己理解、職場実習、求人応募などを計画的に進めていきます。
ただし、必ず2年間利用しなければならないわけではありません。
例えば、利用開始から1年で希望する企業への就職が決まった場合は、2年間の満了を待たずに就職することもできます。
また、2年間利用した場合でも、就職が必ず保証されるわけではありません。
標準利用期間の延長について
標準利用期間を超えて、引き続き就労移行支援を利用する必要がある場合には、自治体へ相談することができます。
市町村審査会による個別審査等を経て、利用継続の必要性が認められた場合は、原則1回、最大1年間の支給決定期間の更新が可能です。
例えば、就職に向けた支援を継続することで具体的な成果が見込まれる場合などが考えられます。
ただし、2年間で就職できなければ、誰でも自動的に1年間延長できるわけではありません。
また、あん摩マッサージ指圧師等の資格取得を目的とする特定の養成課程には、別の標準利用期間が設けられています。
2年間で就職できなかった場合はどうなる?
就労移行支援を利用しても、標準利用期間内に就職が決まらない場合はあります。
その場合は、本人の希望や体調、就職に向けた準備状況などを踏まえて、今後の進路を考えていきます。
例えば、次のような選択肢があります。
1. 就労移行支援の利用期間延長を相談する
引き続き就職に向けた支援が必要な場合、自治体に延長の可否を相談します。
2. 就労継続支援A型やB型を検討する
現在の状態や希望に応じて、支援を受けながら働くサービスや、生産活動に取り組むサービスを検討する方法があります。
3. 自立訓練など別の支援を検討する
生活面の課題や体調管理などを優先して整えたい場合には、別の障害福祉サービスを検討することもあります。
なお、就労移行支援を2年間利用したからといって、自動的にA型やB型へ進むわけではありません。
本人の希望と各サービスの利用要件を踏まえて、相談支援専門員や自治体等と進路を考えることが大切です。
A型と就労移行支援はどんな人に向いている?
A型と就労移行支援のどちらを選ぶか迷った場合は、現在の体調や生活状況、必要な支援、将来の希望などを整理してみましょう。
今の自分に合った環境で働き続けたい場合(A型の検討)
次のような希望や状況がある方は、A型を検討することが考えられます。
- 雇用契約を結び、給与を受け取りながら働きたい
- 決められた勤務時間や業務に継続して取り組みたい
- 一般企業での就労は難しいが、必要な支援があれば仕事ができる
- 実際の仕事を通じて、自分の得意・不得意を整理したい
- A型で安定して働くことや、その先の一般就労について考えたい
ただし、A型は給与が支払われる職場であるため、勤務条件や業務上のルールに沿って働く必要があります。
また、雇用契約に基づく就労が可能であることが利用対象の基本となるため、現在の状況に合っているかを確認することが大切です。
一般企業への就職を目標に準備したい場合(就労移行支援の検討)
次のような希望や状況がある方は、就労移行支援を検討することが考えられます。
- 一般企業への就職を具体的に目指している
- 就職活動の進め方や応募書類の作成について支援を受けたい
- 企業実習で仕事内容や職場環境との相性を確認したい
- ビジネスマナーやPCスキルなどを身につけたい
- 自分の得意・不得意や必要な配慮を整理してから就職したい
就労移行支援では、一般就労を中心的な目標として、訓練や就職活動を進めます。
その一方で、原則として給与が支払われないことや、標準利用期間があることについても、利用前に確認しておきたいところです。
一般就労を目指したい人は、必ず就労移行支援を選ぶべき?
一般企業への就職を目指しているからといって、必ず就労移行支援を選ばなければならないわけではありません。
A型でも、一般企業への就職に向けた支援が行われています。
例えば、次のような支援です。
- 履歴書や職務経歴書の作成
- A型で経験した仕事内容や業務スキルの整理
- 得意・不得意や必要な配慮の整理
- 面接練習や企業見学
- ハローワークなどの関係機関との連携
また、A型で実際の仕事に取り組んだ経験は、就職活動において自分のスキルや働き方を説明する材料になります。
例えば、データ入力や文章作成、検品などの業務経験だけでなく、決められた時間に継続して勤務したこと、業務上の報告・相談を行ってきたことなども、企業に伝えられる経験です。
ただし、A型での勤務経験があれば必ず就職に有利になるというわけではありません。
就職活動では、応募先の仕事内容や求められる能力、本人の希望や必要な配慮との相性も重要になります。
A型で実務経験を積みながら一般就労を目指す方法も、就労移行支援で就職準備を中心に取り組む方法もあります。
どちらが適しているかは、本人の現在の状況や今後の目標によって異なります。
収入だけでなく、必要な支援と今後の目標で考える
A型と就労移行支援を選ぶ際に、収入は重要な判断材料のひとつです。
ただし、「給与がもらえるから」という理由だけでA型を選ぶと、勤務時間や業務上の負担が現在の体調に合わない場合もあります。
一方で、雇用契約に基づいて働くことを希望し、その準備ができている方にとっては、実際の仕事を経験できるA型が適している場合もあります。
サービスを選ぶ際は、次のようなことを考えてみましょう。
- 今の自分は、週に何日・1日に何時間程度なら活動や勤務を継続できそうか
- どのような仕事に興味があるか
- 仕事をするうえで、どのような配慮や支援が必要か
- 当面の生活費や収入をどのように考えるか
- 半年後や1年後、どのような働き方をしていたいか
最初から答えを決める必要はありません。
相談支援専門員や各事業所の職員と相談しながら、自分に合った働き方を考えていきましょう。
就労移行支援からA型へ、A型から就労移行支援へ変更できる?
一度どちらかのサービスを利用し始めた後でも、本人の希望や状況が変わった場合には、別のサービスを検討することができます。
ただし、変更先の利用要件や自治体の支給決定など、必要な手続きがあります。
就労移行支援からA型へ変更する場合
就労移行支援を利用していた方が、A型へ変更することは制度上可能です。
例えば、就労移行支援で学んだスキルを生かし、まずは雇用契約に基づいて働くことを希望するようになった場合などです。
就労移行支援で経験したPC操作やビジネスマナー、自己理解などは、A型での仕事にも役立つ場合があります。
ただし、就労移行支援を利用していれば、自動的にA型へ進めるわけではありません。
A型事業所への応募・採用選考や、自治体によるA型の支給決定などが必要となります。
A型から就労移行支援へ変更する場合
A型で働いた経験を通じて、一般企業への就職をより具体的に考えるようになる方もいます。
例えば、実務経験を積む中で、自分が得意な仕事や必要な配慮が明確になり、企業実習や就職活動を集中的に進めたいと考える場合です。
そのような場合には、就労移行支援への変更を検討することもできます。
ただし、就労移行支援の利用対象となるかどうか、利用可能な期間、自治体の支給決定などを確認する必要があります。
また、A型では雇用契約を結んでいるため、契約の終了や必要な調整についても検討が必要です。
まずは現在の事業所や相談支援専門員、自治体などに相談しましょう。
一般企業へ就職した後も支援を受けられる?
A型や就労移行支援から一般企業に就職した後も、働き続けるための支援を受けられる場合があります。
就職後は、利用していた事業所や関係機関などと連携し、職場への定着に向けた支援が行われることがあります。
また、一定の要件を満たす場合は、「就労定着支援」という障害福祉サービスを利用できます。
就労定着支援は、一般就労を開始してから6か月を経過した後、雇用に伴って生じる生活面や職場での課題について、相談・連絡調整などを行うサービスです。
具体的には、次のようなことを相談できます。
- 職場での人間関係やコミュニケーション
- 生活リズムや体調管理
- 仕事と日常生活の両立
- 職場で必要な配慮に関する調整
ただし、就職した方すべてが自動的に利用できるわけではありません。制度上の利用要件や自治体の支給決定が必要です。
就職することだけでなく、就職後も自分に合った働き方を続けていくことが大切です。
A型と就労移行支援を利用するにはどんな手続きが必要?
A型も就労移行支援も、障害福祉サービスとして自治体への申請が必要です。
また、サービスの利用を検討する際には、就労選択支援という制度も関係する場合があります。
どちらも障害福祉サービス受給者証が必要
A型と就労移行支援は、どちらも自治体による支給決定を受け、障害福祉サービス受給者証の交付を受ける必要があります。
一般的な利用開始までの流れは次のとおりです。
- 事業所の見学・相談:仕事内容や訓練内容、支援体制などを確認します。
- 応募・利用調整:A型では採用面接などの選考を受け、就労移行支援では利用相談や面談などを進めます。
- 自治体への利用申請:お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で申請します。
- サービス等利用計画案の作成:相談支援専門員に依頼する方法や、本人等がセルフプランを作成する方法があります。
- 支給決定・受給者証の交付:自治体が支給内容を決定し、受給者証を交付します。
- 事業所との契約・利用開始:必要な契約を結び、利用を開始します。
A型では原則として「障害福祉サービスの利用契約」と「雇用契約」を結びます。一方、就労移行支援では通常、サービスの利用契約を結びます。
※上記は一般的な流れを整理したものです。自治体への申請と事業所の選考・利用調整の順序は、個別の状況によって前後する場合があります。
詳しい手続きについては、就労継続支援A型の利用までの流れをご覧ください。
就労選択支援とは?利用前に受ける必要がある?
2025年10月から、障害のある方が自分に合った就労先や働き方を選択できるよう支援する「就労選択支援」という制度が始まりました。
就労選択支援では、本人の希望や就労能力、適性、必要な配慮などを整理し、今後の働き方や利用するサービスについて考えます。
2026年10月現在の取扱いは、次のとおりです。
就労継続支援A型
2026年10月現在、新たにA型を利用するすべての方に、就労選択支援によるアセスメントが原則必須となっているわけではありません。
ただし、2027年4月からは、新たにA型を利用する方についても、原則として就労選択支援によるアセスメントが求められる予定です。
就労移行支援
2026年10月現在、新たに就労移行支援を利用するすべての方に、就労選択支援が原則必須となっているわけではありません。
ただし、2027年4月からは、就労移行支援の標準利用期間を超えて利用する場合について、原則として就労選択支援によるアセスメントが求められる予定です。
制度の取扱いは今後変更される可能性があります。
実際に利用する際には、最新の制度や自治体の案内を確認しましょう。
A型と就労移行支援について、よくある質問
Q1. A型と就労移行支援はどちらが就職しやすいですか?
A. 一概にどちらが有利とは言えず、本人の状況や目指す働き方によって異なります。
就労移行支援は、企業実習や応募書類の作成、面接練習など、一般就労に向けた準備や就職活動を中心に支援します。
一方、A型では実際の業務経験を積み、仕事内容や勤務状況、必要な配慮などを具体的に整理できます。
どちらが適しているかは、本人の希望や現在の状態、必要な支援、事業所の支援体制などによって異なります。
Q2. 就労移行支援では給与がもらえますか?
A. 原則として雇用契約に基づく給与は支払われません。
就労移行支援は、一般企業等への就職に向けた訓練や支援が中心となるサービスです。
ただし、生産活動を実施している事業所では、工賃が支払われる場合があります。
工賃の有無や金額は事業所によって異なるため、利用前に確認しましょう。
Q3. 就労移行支援を2年間利用して就職できなかったら、A型に入れますか?
A. A型への変更を検討することは可能です。
就労移行支援を利用した後、雇用契約を結んで働くことを希望する場合には、A型を検討できます。
ただし、A型事業所の採用選考や、自治体によるA型の支給決定が必要です。
就労移行支援の利用期間が終了しただけで、自動的にA型へ移行するわけではありません。
Q4. A型で働きながら就労移行支援も利用できますか?
A. 通常はどちらかのサービスを中心に利用します。併用には個別の確認が必要です。
A型と就労移行支援は、どちらも日中活動系の障害福祉サービスです。
通常は、一方のサービスを中心に利用することになります。
特に同じ日に複数の日中活動系サービスを利用する場合は、支援内容や報酬の重複などが問題となるため、自由に併用できるわけではありません。
ただし、障害福祉サービスの併給については、市町村が個別の必要性等を判断する仕組みがあります。
併用や利用先の変更を検討する場合は、現在の事業所や相談支援専門員、自治体に確認しましょう。
Q5. 一般企業への就職を目指すなら、A型より就労移行支援がよいですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。
就労移行支援は、一般企業への就職に向けた訓練や就職活動を中心とするサービスです。
一方、A型でも実際の業務経験を積みながら、本人の希望に応じて一般就労を目指すことができます。
現在の状況で雇用契約に基づく勤務が可能か、どのような支援が必要か、生活面でどのような希望があるかなどを踏まえて考えましょう。
※その他の疑問については、よくある質問(FAQ)もご覧ください。
現在の状況と将来の希望に合わせて、働き方を選ぼう
就労継続支援A型と就労移行支援の違いについて、重要なポイントをまとめます。
- A型は実際の仕事に取り組みながら、働き続けるための支援を受けるサービスです。
- 就労移行支援は一般企業等への就職に向けた訓練や就職活動を中心とするサービスです。
- A型では原則として給与が支払われ、就労移行支援では原則として給与は支払われません。
- A型には一律の利用期間上限がありませんが、就労移行支援の標準利用期間は2年間です。
- どちらのサービスからでも一般就労を目指すことができます。
- 大切なのは、現在の状況と将来の希望に合ったサービスを考えることです。
どちらか一方が優れているというものではありません。
今の自分にとって、どのような仕事や訓練が必要なのか。どのような環境であれば、無理なく取り組むことができそうか。
そのような視点から考えてみましょう。
また、制度の説明だけでは分からないこともあります。
気になる事業所がある場合は、実際に見学し、仕事内容や訓練内容、支援体制などを確認してみることをおすすめします。
じぶんスペースではA型の見学・利用相談を受け付けています
名古屋市中区の就労継続支援A型事業所「じぶんスペース」では、見学や利用相談を受け付けています。
じぶんスペースは、企業からの受託業務やグループ企業との連携を通じて、実際の仕事に取り組む職場です。
主に次のような業務に取り組んでいます。
- PC・データ入力・事務作業
- Webサイト制作・更新、文章作成
- 画像・動画編集
- EC・商品管理
- 関連企業の工場での施設外就労
仕事を通じて業務スキルや報告・連絡・相談、期限管理などを身につけるとともに、自分の得意・不得意や必要な配慮を整理し、今後の働き方を考えていくことも大切にしています。
基本的な勤務条件は、原則として平日週5日・1日実働4.5時間(10:00〜15:30)です。
※実際の募集条件や担当業務は、勤務場所や事業所の状況等によって異なる場合があります。
「一般企業への就職を目指したいけれど、まずは実際の仕事を経験したい」
「自分が週5日・1日4.5時間働ける状態か相談したい」
「就労移行支援と迷っているので、実際の仕事や職場環境を確認したい」
このようなご相談も受け付けています。
ご本人だけでなく、ご家族や支援機関・医療機関の方の同席も可能です。
利用を決める前でも構いません。
まずは実際の職場を知り、ご自身に合った働き方を考えるところから始めてみませんか。
参考資料
- 厚生労働省|障害福祉サービスの内容
- 厚生労働省|障害者の就労支援対策の状況
- 厚生労働省|介護給付費等の支給決定等について
- 厚生労働省|就労選択支援について
- 愛知県|就労選択支援について
- 愛知労働局|愛知県の最低賃金
※この記事は2026年10月時点の制度・公的資料をもとに作成しています。障害福祉サービスの利用要件、利用期間の延長、支給決定等の取扱いは、自治体や個別の状況によって異なる場合があります。最新の内容については、お住まいの自治体等へご確認ください。
