A型の利用料
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「就労継続支援A型で働くと給与がもらえるけれど、利用料も支払わなければいけないの?」
「給与から利用料が引かれたら、手元にいくら残るのか不安……」
就労継続支援A型(以下、A型)の利用を検討するとき、お金に関する仕組みは気になるポイントのひとつです。
結論からお伝えすると、A型は障害福祉サービスであるため、制度上は利用料(利用者負担)が発生する場合があります。
ただし、利用料には所得状況に応じた「負担上限月額」が設けられており、**生活保護世帯や住民税非課税世帯の場合、障害福祉サービスの利用者負担は0円(無料)**です。
また、利用料が発生する場合でも、働いたその月の給与額によって、負担上限月額が突然変わる仕組みではありません。
この記事では、A型の利用料が発生する仕組み、無料になる条件、給与や障害年金との関係、ご自身の負担額を確認する方法まで分かりやすく解説します。
就労継続支援A型では利用料がかかる?
まずは、「なぜ給与をもらいながら利用料を支払う場合があるのか」という基本的な仕組みから整理していきましょう。
A型には「給与」と「障害福祉サービスの利用料」がある
A型事業所は、一般的なアルバイトやパートと同じように、雇用契約を結んで働く場所です。
一方で、障害や体調に応じた支援を受けながら働くことのできる障害福祉サービスでもあります。
そのため、お金のやり取りには2つの側面があります。
雇用の側面(給与の受け取り)
事業所と雇用契約を結び、実際の業務に取り組んだ対価として給与を受け取ります。雇用契約を結ぶA型の利用者には労働関係法令が適用され、原則として最低賃金以上の賃金が支払われます。
福祉サービスの側面(利用料の支払い)
A型では、働く機会の提供に加えて、就労に必要な支援などが障害福祉サービスとして提供されています。
そのサービスに対して、所得状況などに応じた利用者負担が発生する場合があります。
つまり、「給与」は仕事の対価として受け取るもの、「利用料」は障害福祉サービスの利用に伴う費用です。
両者は別の仕組みに基づいているため、給与を受け取っているからといって、必ずしも利用料が発生するわけではありません。
※じぶんスペースの具体的な勤務条件については、利用・雇用についてをご覧ください。
利用料は原則1割負担。ただし月額上限がある
障害福祉サービスの利用者負担は、基本的にサービス費用の1割を負担する仕組みです。残りの費用は公費から給付されます。
ただし、1割負担だからといって、利用日数が増えるほど負担額がどこまでも増えるわけではありません。
利用者の負担が過度に大きくならないよう、所得区分に応じて、1か月あたりに支払う金額の上限が設定されています。
これを**「利用者負担上限月額」**といいます。
例えば、負担上限月額が9,300円の方の場合、次のようになります。
| 1か月の利用者負担の計算額 | 実際の利用者負担額 |
|---|---|
| 5,000円 | 5,000円 |
| 9,300円 | 9,300円 |
| 15,000円 | 9,300円 |
※上記は仕組みを説明するための仮の計算例です。実際のサービス費用や負担額を示すものではありません。
このように、1割負担の計算額が上限を下回る場合はその金額を支払い、上限を超えた場合は上限額までの負担となります。
また、所得区分によっては、この負担上限月額そのものが0円に設定されます。
A型の利用料が無料になるのはどんな人?
A型では、利用する方の所得状況によって、利用料が発生するかどうかが異なります。
ここでは、無料になる条件と、利用料が発生する場合の上限額について説明します。
生活保護世帯・住民税非課税世帯は利用者負担0円
障害福祉サービスでは、所得状況に応じて利用者負担の区分が定められています。
そのうち、次の区分に該当する場合は、負担上限月額が0円となります。
- 生活保護を受給している世帯
- 市町村民税が非課税の世帯(住民税非課税世帯)
ただし、所得判定で対象となる世帯の範囲には注意が必要です。
18歳以上の障害者がA型を利用する場合、原則として本人と配偶者の所得状況をもとに判定されます。
そのため、ご本人に収入がない場合でも、配偶者の住民税が課税されていれば、利用者負担が発生する可能性があります。
反対に、親と同居していても、本人と配偶者が非課税であれば、利用者負担が0円となる場合があります。
利用料の負担上限月額はいくら?
住民税が課税されている場合は、所得割額などに応じて負担上限月額が決まります。
国の基準と、名古屋市の基準をそれぞれ見ていきましょう。
全国の基本的な負担上限月額(国の基準)
18歳以上の障害のある方が、A型などの通所サービスを利用する場合、国の基本的な負担上限月額は次のとおりです。
| 所得区分 | 世帯の状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※一般1の9,300円という区分には、入所施設やグループホームの利用状況などによる例外があります。ここではA型の通所利用を中心に説明しています。
この金額は、各所得区分における月額の上限です。
実際に毎月支払う金額が、必ずこの表の金額になるという意味ではありません。
名古屋市における負担上限月額(独自の軽減措置)
名古屋市では、通所サービス等を利用する障害者について、国の基準に加えて、市独自の負担軽減が設けられています。
| 所得区分 | 市民税所得割額 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護・非課税 | 生活保護受給世帯・市民税非課税世帯 | 0円 |
| 課税世帯 | 16万円未満 | 9,300円 |
| 課税世帯(市独自軽減) | 16万円以上46万円未満 | 18,600円 |
| 課税世帯 | 46万円以上 | 37,200円 |
名古屋市では、市民税所得割額が16万円以上46万円未満の方についても、負担上限月額が18,600円に軽減されています。
これは、国の基本的な制度に加えて設けられている名古屋市の取扱いです。
お住まいの自治体によって独自の軽減措置が設けられている場合があるため、名古屋市以外にお住まいの方は、それぞれの自治体の案内をご確認ください。
「負担上限月額=毎月の支払額」ではない
ここで注意したいのは、「負担上限月額が9,300円の方は、毎月必ず9,300円を支払う」という意味ではないことです。
実際の利用料は、その月に提供された障害福祉サービスの費用をもとに計算されます。
そのうえで、負担上限月額を超えないように調整されます。
例えば、月額上限9,300円の方であっても、実際の利用者負担の計算額が7,000円であれば、支払額は7,000円となります。
また、A型事業所が制度に基づく利用者負担の減免を実施している場合は、さらに負担が軽減されることもあります。
実際の請求金額は、利用状況や適用される軽減措置などによって異なります。
親と同居している場合、親の収入も関係する?
「実家で暮らしているため、親の収入が合算されて利用料が高くなるのでは?」
このような心配をされる方もいらっしゃいます。
結論から言うと、18歳以上の障害者がA型を利用する場合、原則として親の収入は合算されません。
障害福祉サービスの利用者負担を判定する際の「世帯」の範囲は、基本的に次のように定められています。
- 18歳以上の障害者:本人と配偶者
- 18歳未満の障害児:保護者が属する住民基本台帳上の世帯
※施設入所など、一部のサービスについては例外があります。
そのため、例えば25歳で未婚の方が親と同居している場合、基本的には本人の所得状況で判定されます。
親に収入があっても、その収入がA型の利用者負担を判定する際に自動的に合算されるわけではありません。
ただし、結婚して配偶者がいる場合は、その配偶者の課税状況も判定に関係します。
なお、税法上の扶養や健康保険の扶養と、障害福祉サービスの利用者負担における世帯の考え方は別のものです。
混同しないようにしましょう。
A型で給与をもらうと、利用料は高くなる?
A型で働き始め、給与を受け取るようになると、利用料がどう変わるのか気になる方もいるでしょう。
ここでは、給与と住民税、利用者負担の関係を整理します。
利用料は毎月の給与だけで決まるわけではない
「今月は10万円の給与をもらったから、利用料も高くなるのでは?」
そう心配される方もいるかもしれません。
しかし、障害福祉サービスの負担上限月額は、働いたその月の給与額によって毎月変動する仕組みではありません。
基本的には、対象となる世帯の住民税の課税状況などをもとに、自治体が負担区分を決定します。
住民税は前年の所得をもとに計算されるため、給与が増えた影響が負担区分に反映されるまでには時間差があります。
ただし、配偶者の課税状況や世帯状況の変化なども関係するため、給与だけを見て利用料の有無を判断することはできません。
働き始めたばかりの人はどうなる?
A型を利用する前に働いていなかった方や、前年の収入が少なかった方は、住民税非課税世帯として利用者負担が0円になる場合があります。
ただし、すべての方が利用開始初年度から無料になるわけではありません。
例えば、前職で一定の収入があった方や、配偶者に課税対象となる所得がある方は、利用開始時から利用者負担が発生する可能性もあります。
また、A型で働き始めた後、給与収入が増えたことで住民税が課税されるようになり、将来的に負担区分が変わる場合もあります。
住民税が切り替わるタイミングに注意
住民税は、原則として前年1月1日から12月31日までの所得をもとに、翌年度の税額が計算されます。
例えば、2026年中に受け取った給与などは、原則として2027年度の住民税の計算に反映されます。
住民税の課税状況は通常、毎年6月頃に新年度の内容へ切り替わります。
一方、障害福祉サービスの利用者負担上限月額については、自治体が定める適用期間や見直しの時期に従って変更されます。
名古屋市でも、所得状況に応じて負担区分が見直される場合があります。
ただし、給与が増えたからといって、必ず負担区分が上がるわけではありません。
給与所得控除や、適用要件を満たす場合の障害者控除などによって、一定の給与収入があっても住民税が非課税となることがあります。
税制は改正されることもあるため、具体的な負担区分については、自治体に確認することが大切です。
障害年金を受給している場合は?
障害基礎年金や障害厚生年金を受給している場合は、給与とは異なる取扱いになります。
障害年金は税法上の非課税所得であり、住民税の課税対象となる所得には含まれません。
そのため、障害年金を受給していること自体によって、住民税の課税額が増え、A型の利用者負担が高くなるということはありません。
ただし、障害年金以外に給与などの課税対象となる所得がある場合や、配偶者に所得がある場合は、その状況によって負担区分が変わる可能性があります。
また、障害年金と給与の併用については、年金の種類や受給状況によって、別途確認が必要となる場合もあります。
利用料の判定と、障害年金そのものの受給要件は、分けて考えるようにしましょう。
A型の利用料はどのように確認できる?
ご自身に利用料が発生するのか、実際にどの程度の負担になるのかを確認する方法を紹介します。
受給者証の「利用者負担上限月額」を確認する
A型の利用に必要となる「障害福祉サービス受給者証」には、利用者負担上限月額が記載されています。
受給者証をお持ちの場合は、まずこの欄を確認しましょう。
「0円」と記載されている場合
対象となる障害福祉サービスの利用者負担は発生しません。
「9,300円」「18,600円」「37,200円」などと記載されている場合
その金額を上限として、サービス費用に応じた利用者負担が発生する場合があります。
なお、受給者証に記載されている金額は、あくまで利用者負担の上限額です。
必ず毎月その金額が請求されるわけではありません。
まだ受給者証をお持ちでない方は、お住まいの自治体の窓口で、現在の課税状況や世帯状況をもとに、どのような負担区分になる見込みか相談してみましょう。
名古屋市の場合は、区役所福祉課または支所区民福祉課が相談先となります。
※受給者証の申請方法については、就労継続支援A型の利用までの流れ|受給者証の申請と必要な手続きで詳しく解説しています。
利用料が発生する場合、どのように支払う?
利用料が発生する場合は、事業所が提供したサービスの実績などをもとに利用者負担額を計算し、利用者へ請求します。
具体的な請求時期や支払い方法は事業所によって異なります。
例えば、請求書に基づいて振り込みを行う方法や、口座振替などの方法があります。
また、複数の障害福祉サービスを利用している場合などは、月額上限を超えて負担が発生しないように、別途調整が必要になることもあります。
実際に利用を開始する前に、次の内容を確認しておくと安心です。
- 自分の負担上限月額はいくらか
- 利用料が発生する場合、どのように計算されるか
- いつ、どのような方法で支払うのか
- 事業所による負担軽減があるか
- その他に必要となる費用はあるか
事業所独自の利用者負担減免措置について
A型には、事業所の判断により、制度に基づいて利用者負担を軽減する仕組みがあります。
これは、事業所が必要な届出などの手続きを行い、対象となる利用者の負担額を事業所側で軽減するものです。
ただし、すべてのA型事業所が実施しているわけではありません。
事業所によって実施の有無や軽減内容が異なるため、利用前に確認するとよいでしょう。
利用料が0円でも、その他の費用がかかる場合がある
利用者負担上限月額が0円であっても、働くために必要な費用がすべて無料になるとは限りません。
例えば、次のような費用です。
- 事業所までの交通費
- 昼食代
- その他、事業所が事前に説明する実費負担
これらの費用が必要かどうか、補助制度や手当があるかどうかは、事業所によって異なります。
利用料だけでなく、実際に通所して働く際に必要となる費用も確認しておきましょう。
A型の利用料について、よくある質問
Q1. A型で毎月10万円ほど給与をもらう場合、利用料はかかりますか?
A. 毎月の給与額だけでは決まりません。
A型の利用者負担上限月額は、基本的に住民税の課税状況などをもとに決まります。
例えば、これから働き始める方で、前年までの収入が少なく、本人と配偶者が住民税非課税であれば、利用者負担が0円となる場合があります。
一方、前職で一定の所得があった場合や、配偶者に課税所得がある場合などは、負担が発生する可能性があります。
また、A型で継続して給与を得ることで、将来的に負担区分が変わる場合もあります。
Q2. 親と同居していても、利用料が無料になることはありますか?
A. はい、無料になる場合があります。
18歳以上の方がA型を利用する場合、原則として、所得判定の対象となる世帯は本人と配偶者です。
そのため、親と同居していても、親の所得は原則として合算されません。
未婚の方で本人が住民税非課税の場合は、負担上限月額が0円になることがあります。
Q3. 障害年金を受給していると、利用料は高くなりますか?
A. 障害年金そのものは非課税所得であり、住民税の課税額を増やすものではありません。
そのため、障害年金を受給しているという理由だけで、A型の利用者負担が高くなるわけではありません。
ただし、給与などの課税対象となる所得や配偶者の所得状況によっては、利用者負担が発生する場合があります。
Q4. 利用料は給与から天引きされますか?
A. 事業所の支払い方法や、必要な法的手続きによって異なります。
労働基準法では、賃金全額払いの原則が定められています。
そのため、事業所が利用料を自由に給与から差し引けるわけではありません。
所得税や社会保険料などの法定控除以外の金額を給与から控除する場合には、原則として適切な労使協定など、法令上の要件を満たす必要があります。
利用料を給与とは別に請求する事業所もあります。
具体的な精算方法については、契約時に確認しましょう。
Q5. 利用料が0円だった人も、途中から負担が発生することはありますか?
A. はい、所得状況や世帯状況が変わることで、負担区分が変更される場合があります。
例えば、A型で働き始めた後に給与収入が増え、翌年度以降に住民税が課税されるようになった場合です。
また、結婚などによって所得判定の対象となる世帯の状況が変わった場合にも、負担区分に影響する可能性があります。
変更の時期や手続きは自治体の取扱いによって異なるため、受給者証に記載されている負担上限月額や適用期間を確認しましょう。
※その他の疑問については、よくある質問(FAQ)もあわせてご覧ください。
A型の利用料が気になる方は、利用前に確認しておきましょう
就労継続支援A型の利用料について、重要なポイントをまとめます。
- 給与と利用料は別の仕組みです。 給与は仕事の対価として受け取るもの、利用料は障害福祉サービスの利用に伴う費用です。
- 生活保護世帯・住民税非課税世帯は利用者負担0円です。
- 18歳以上の方の場合、原則として親の所得は合算されません。 本人と配偶者の所得状況をもとに判定します。
- 障害年金は非課税所得です。 障害年金そのものは住民税の課税対象に含まれません。
- 利用料が発生する場合でも、所得に応じた月額上限があります。
- 実際の負担額は、受給者証や自治体の案内で確認できます。
A型の利用を考える際は、毎月の給与だけでなく、利用料や通勤費なども含め、無理なく働き続けられるかを確認することが大切です。
また、制度上の負担上限月額と、実際に毎月支払う金額は必ずしも同じではありません。
分からないことがある場合は、利用開始前に自治体や事業所へ相談しておきましょう。
じぶんスペースでは見学・利用相談を受け付けています
名古屋市中区の就労継続支援A型事業所「じぶんスペース」では、見学や利用相談を受け付けています。
じぶんスペースは、雇用契約を結んで実際の仕事に取り組みながら、自分に合った働き方や、その先の働き方についても考えていく職場です。
「自分の場合、利用料がかかるのか知りたい」
「給与や勤務条件について確認したい」
「実際の作業環境や仕事内容を見てみたい」
こうしたご相談も受け付けています。
利用者負担の正式な判定は自治体が行いますが、利用前に確認しておきたいことや、必要な手続きについてご案内できます。
ご本人だけでなく、ご家族や支援機関・医療機関の方の同席も可能です。
利用を決める前でも構いません。
実際の職場を知り、ご自身に合った働き方を考えるところから始めてみませんか。
参考資料
※この記事は2026年10月時点の制度・基準をもとに作成しています。障害福祉サービスの利用者負担判定や負担上限額、軽減措置の詳細は、お住まいの市区町村や個別の所得・世帯状況によって異なる場合があります。最新の取扱いについては、お住まいの自治体窓口へご確認ください。
