一般職と総合職、具体的にどのような違いがあるか、ご存知ですか?
イメージとしては、バリバリ働くのが総合職、総合職の補助的な仕事が一般職、という感じでしょうか。
少し前までは大学を出た女性は、男性と同じようにバリバリ仕事がしたい!と総合職を希望する人も多かったのですが、最近は変化が出てきているようです。
もっと自分らしく、結婚、出産とライフステージの変化があっても長く働けるようにと一般職を希望する人も増えてきているのだとか。
そこで今回は、この2つの職種に実際にはどのような違いがあるのか、詳しくお話しします。
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「雇用機会均等法」の施行によって導入された区別
一般職と総合職という区別は昔からあったわけではありません。
1986年の「男女雇用機会均等法」の施行と同時に導入された制度です。
それまで、雇用されてからのコースは男女で分かれている会社が多かったんですね。
しかし働く上で、男性か女性かという性別によって区別するのは適切でないという法律が施行されたことによって、能力や適性で評価するために一般職と総合職という区分けができたのです。
個人の希望によって働き方が選べるようになったんですね。
一般職は女性が多いというイメージがあるかもしれませんが、性別で評価しないという考えが根底にありますから、男性でももちろん一般職に就くことは可能です。
将来の幹部候補で仕事の幅が広いのが総合職
総合職は、将来的に管理職、幹部になることを期待されている職種です。
ですから仕事の幅は多岐に渡り、様々な経験を積みながら、将来は会社の中枢を担うことが期待されています。
- ◆事務系総合職
- 営業、企画、マーケティング、広報、法務、人事、総務などの仕事。
- ◆技術系総合職
- 研究、生産技術、設計、品質管理など。
- ◆地域総合職
- 一般的には転居を伴う異動がない総合職。
総合職の中でもこのような種類がありますが、一つの職種でずっといくとは限らず、枠にとらわれない異動ももちろんあります。
能力で評価される
総合職は、性別ではなく仕事の結果や能力で評価されますから、頑張りがいがありますね。
一応適性を見た上で配属が決まり、数年の経験を経て独り立ちするパターンが多いようです。
給与が高め
総合職は最初から幅広い仕事をすること、仕事の結果を出すことが期待されていますから、一般職と比べると基本給は高めに設定されていることが多いです。
また、昇給の幅も違うので、入社して時間が経つほど、一般職との給与の差は開いていきます。
昇進が早い
総合職は管理職になるために色々な経験を積んでいますから、昇進のスピードも一般職とは違います。
場合によっては年下の部下ということもあり得るわけですね。
将来の幹部候補生ですから、出世のスピードが違うのは当然といえば当然です。
たいていは入社の段階で階級が一段上になっています。
異動の仕方は様々
入社の段階で適性は見ていますが、入社してから才能が開花する場合もあるので、だいたい数年ごとに色々な部署を経験させることが多いです。
異動の仕方は、その人の適性に応じて色々なパターンがあります。
転勤アリ
総合職というコースを設けている会社は比較的大規模な会社が多いので、全国転勤が前提になっています。
場合によっては海外転勤もありますね。
総合職として入社している以上、よほどのことがない限り転勤は断れません。
比較的定型的な仕事が多く、総合職をサポートする一般職
総合職をサポートしながら、比較的定型的なマニュアルのある仕事をするのが一般職です。
仕事の幅はそれほど広くないので、ある程度経験を積むと「ベテラン」の域に達するかも。
とはいっても、一般職が「楽」だと言っているわけではありません。
総合職をサポート
サポートというとわかりにくいかもしれませんが、例えば営業職の人が総合職で、それをサポートする営業事務が一般職、と考えるとわかりやすいでしょう。
意思決定をするのが総合職の役目なら、それを補佐し、補助的な事務仕事をするのが一般職です。
定型的な仕事が多い
一般職は事務仕事中心なので、マニュアルのある定型的な仕事が多いです。
最近ではコスト削減からか、一般職の仕事をパート勤務の人や派遣社員が担っているケースも多く見られます。
マニュアルや教育体制が整っていれば、未経験でも出来る仕事が多いからでしょう。
お給料が上がりづらい
一般職に何らかの特別なスキルは必要ないことが多いので、結果としてみせるのが難しい=お給料に反映しづらい、というところがあります。
昇進はしづらい
総合職は最初から幹部候補生としての位置づけがありますが、一般職はそうではありません。
入社した時から明確な階級の違いがありますし、その後の昇進のスピードも違います。
仕事の内容からすると、これは致し方ないことですね。
異動、転勤が少ない
一般職は、基本的に転居を伴う異動はありません。ただ、人事異動で部署を変わることはもちろんあります。
また、本社と支社、事業所間の異動など、可能な範囲での転勤はあり得ます。
一般職と総合職、どちらを選ぶかは自分の生き方の問題
一般職と総合職、どちらがいいのかという問題になると、それは一概にいえません。
仕事に何を求めるか、どのように働いていきたいかというのはその人の生き方そのものだからです。
いいとか悪いという問題ではないんですね。
企画や営業などは一般職ではできない
例えば、デスクワーク中心の事務職よりも、人と接することが好きで営業職に就きたいとか、商品の企画を考える部署にいきたいという場合は、総合職を希望する方がいいですね。
コツコツとした仕事が得意なら
目の前にある仕事をコツコツとこなすことが好き、という場合は一般職が向いているかもしれません。
また、こまごまとした仕事を同時にこなしていかなくてはいけないので、物事に優先順位をつけ、柔軟に取り組むことが出来る能力が必要です。
将来性を考えて選ぶ
最近では、転勤がイヤだ、残業が出来るだけない方がいいと、高学歴の女性でも一般職を選ぶ人が増えてきているそうです。
しかし、そう短絡的に考えてもいいものでしょうか。
たしかに、結婚、出産などを考えると、全国転勤があるというのは悩んでしまいますよね。
でも、一般職と総合職では経験できる仕事の幅、レベルが違います。
また、夫の転勤によって自分が仕事を辞めざるをなくなるケースもありますよね。
そんな時でも能力のある人なら、転居先で新しい仕事を見つけるのも比較的楽でしょう。
一般職が楽だからという理由だけで選んでしまうと、将来のライフスタイルの変化に対応できないかもしれません。
まだ先のことはわからないとはいえ、10年、20年先を見据えて仕事を選ぶことも大切です。
途中で変更できる場合も
総合職として入ったら、もう絶対に総合職以外の仕事は出来ないというわけではありません。
ただ、その逆はなかなか難しいのが現状です。
絶対無理ではないのですが、経験が少ないですから、どれほどの結果が出せるのかが未知数。試験を受けたり、上司に推薦してもらうなど、色々と難関があります。
中小企業は区別がない場合が多い
一般職と総合職の区別がある会社は、比較的規模の大きい会社が多いです。
中小企業は社員の人数が限られていますから、そんなコース別に採用していないところが多いんですね。
だからといって中小企業がダメだといっているわけではありません。
ですから、「大企業で総合職がある」という条件だけで選んだりせず、その会社に入って何をさせてもらえるのか、どういう昇進の仕方があるのかなど、企業研究はしっかりしたいものです。
とにかく大手の企業に入って総合職としてバリバリはたきたいというのでもいいですし、小さな会社でも自分に合った仕事をしたいというのもあり。
大事なのは、自分がどうやって生きていきたいのかをよく考えて、会社を選ぶことです。
一般職は縮小されるかも
しかし、今後はAIの発達により一般職は縮小されていくかもしれません。
定型的な仕事は機械でも出来るようになってきているからです。
日本人にとって楽な仕事であれば、外国人でも教えればできますしね。
となると、今後はどちらの仕事も出来るように、仕事のスキルを自分なりに磨いていく必要があると思います。
「私にしかできないことは何か」という視点で仕事をするということがとても大切ですね。
一般職か総合職か。迷ったら総合職を目指してみては
仕事はやってみないとわからないことが多いですし、同じ仕事でも会社によってやり方は違います。
一般職と総合職、どちらが自分に向いているのかは正直、働いてみないとわからないところがあります。
そんな時は、まずは総合職で色々と経験してみて、これは無理だと思ったら一般職にコースを変更するという方法もあるでしょう。
いずれにしても、一般職はこれから減少傾向にあります。それだけ倍率も上がるということですから、もし迷ったら総合職を目指した方が採用の確率も上がります。