近年、インターネットの普及により、ビジネスシーンでも電話の代わりにメールを送ることが格段に増えてきました。
仕事相手にビジネスレターを送る場合、友人など気の置けない仲とは違い、文章には気を配る必要があります。特に大切なのは書き出し。いきなり用件から始めるのではなく、文頭に挨拶を入れてから、本題に入るのが礼儀です。
そこで今回は、ビジネスレターの書き出しについて、例文も交えながらご紹介したいと思います。
Contents
文書の書き出しは宛名から。正しい書き方を覚えよう
まず、どんな文書でも初めに宛名を書く必要があります。宛名の書き方は「会社名→部署と役職名→個人名」の順に書くようにしてください。以下のように、会社名や役職名の後で改行すると、さらに見やすくなります。
株式会社○○
総務部長
山田太郎様
個人名の敬称は「様」になります。もし個人名が分からない場合は、役職のみでも構いません。その場合は、株式会社○○ 総務部長殿」のように敬称を「殿」にしてください。
一般的によく使われるビジネスレターの書き出しとは?
宛名の後、簡単な挨拶分を入れるのですが、一般的に広く使われているのは、以下のような文章です。
- いつもお世話になっております。
- 平素よりお力添えいただき、ありがとうございます。
相手がお客様の場合は、以下のような挨拶が一般的です。
- 平素よりお引き立ていただき、ありがとうございます。
- いつもご利用いただき、ありがとうございます。
- 平素よりご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
初めての相手にビジネスレターを送る場合の書き出しとは?
仕事では引き継ぎなどで面識のない相手にビジネスレターを送る場合もあります。その時、「いつも」や「平素」などの言葉を使うことはできません。初めての相手に文書を送る場合は、以下のような挨拶分を使うとよいでしょう。
- 突然のご連絡いたします。○○株式会社総務部の山田太郎と申します。
- 初めまして。○○株式会社総務部の山田太郎と申します。
企業に文書を送る場合の書き出しとは?
仕事では、個人宛ではなく企業宛に文書を送ることもあると思います。その場合は、敬称は「貴社」になります。以下に例をご紹介しましょう。
- 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
- 貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
- 貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
- 貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
普段なじみのない言葉も多いと思いますので、意味をご紹介しましょう。
盛栄…商売の繁盛や繁栄を意味します(法人宛のみ使用可)。
隆盛…大いに栄えることを意味します(法人宛のみ使用可)。
清祥…健康や無事であることを意味します(法人宛・個人宛ともに使用可)。
それぞれ意味が違いますので、意図に合わせた言葉を使うようにしましょう。
目上の方などに使う、かしこまった表現の挨拶文
お相手が社長など地位のある方だったり、目上の方の場合、「いつもお世話になっております」では少しフランクすぎるかもしれません。
その場合は以下のような挨拶文を使うとよいでしょう。
- 平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
- 貴殿におかれましては、ますますご清祥のことお慶び申し上げます。
相手と会った時期によって、書き出しを使い分けよう!
仕事では実際に顔を合わせた後、帰社してからあらためて用件の確認やお礼のメールを送ることも少なくありません。
最近お会いした方への書き出しには、「先日はありがとうございました」など、一言添えるようにしましょう。
ビジネスレターの常識!頭語・結語の使い方を覚えよう
普段からやり取りのある方であれば、書き出しは「いつもお世話になっております」で構いませんが、少しかしこまった表現や、メールではなく手紙の場合は、頭語、結語や時候の挨拶を使う場合があります。
頭語とは「拝啓」や「前略」といった言葉で、決まった結語(「敬具」など結びの言葉)と組み合わせて用います。頭語は4種類あり、用途によって使い分ける必要があります。以下に詳しく説明していますので、参考にしてください。
拝復―敬具…相手からの文書に返信する場合に用いる。
前略―草々…書き出しの挨拶文を省略する場合に用いる。
謹啓―謹白…かしこまった文書の場合に用いる。
季節に合わせた、時候の挨拶の言葉はどうやって使う?
頭語、結語とセットで使われるのが、時候の挨拶。季節を表現する言葉で、各月ごとに表現が違います。以下に詳しくご紹介しましょう。
- 1月…新春の候/厳寒の候/大寒の候/寒風の候
- 2月…残冬の候/向春の候/余寒の候/軽暖の候
- 3月…早春の候/春分の候/萌芽の候
- 4月…春暖の候/春爛漫の候/晩春の候
- 5月…若葉の候/新緑の候/立夏の候
- 6月…長雨の候/初夏の候/向暑の候
- 7月…酷暑の候/盛夏の候/猛暑の候
- 8月…晩夏の候/残暑の候/立秋の候
- 9月…初秋の候/秋晴の候/秋冷の候
- 10月…仲秋の候/秋雨の候/秋霜の候
- 11月…晩秋の候/霜寒の候/向寒の候
- 12月…初冬の候/師走の候/歳末の候
時候の挨拶は、季節を少し先取りしたような言葉が多くなります。
使い方は、頭語の後に改行せずスペースを空けて、「拝啓 新春の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」のように使います。
ビジネスレターの最後を締める、結びの言葉と署名の仕方
ビジネスレターには、書き出しに決まり文句があるように、結びにも決まり文句があります。目的によって使い分ける必要がありますので、以下を参考にしてください。
一般的な結びの言葉
- よろしくお願いいたします。
- 用件のみにて失礼いたします。
こちらから連絡をする場合
- 後日、あらためてご連絡を差し上げます。
- 詳細が決まり次第、こちらからご連絡を差し上げます。
相手から返答が必要な場合
- 大変お手数ですが、ご確認の上、ご返答をいただきますようお願いいたします。
- 大変恐縮ですが、ご返信をお願いいたします。
また、ビジネスレターの最後は、会社名や所属部署、連絡先などが分かる署名を添えるようにしてください。署名の書き方は、以下の例を参考にしてください。
総務部 山田太郎
住所 〒000-0000
東京都○○○○○丁目○番○号
TEL 00-0000-0000
FAX 00-0000-0000
E-mail 00@000.co.jp
定型の書き方を覚えて、社会人として恥ずかしくない文章を!
いかがでしたか?社会人として働いていると、何かとビジネスレターを書く機会が多いので、上記のような基礎的なことは覚えておいて損はないでしょう。
ある程度、定型文が決まっているので、一度覚えれば使うのは簡単です。先方に送って恥ずかしい文章にならないよう、社会人の常識としてビジネスレターの書き方はマスターしておきましょうね。