低金利の現代、資産の運用が注目を集めています。
老後や将来のために計画的に資産を築いていく必要がある昨今の日本の情勢から、国や企業が個人の資産運用を推奨している時代なのです。
将来に向けて必要なお金を考えるとき「貯蓄」と「投資」という二つの資産形成の方法があります。
投資と聞くと、リスクがあり投資知識を持たずにはできないのではないかと二の足を踏む人も多いでしょう。
ここでは、投資に対する苦手意識を持っている人でも気軽に投資を始めることができる「ロボアドバイザー」について詳しく紹介しています。
Contents
本当に大丈夫?ロボアドバイザーの仕組みが知りたい!
ロボアドバイザーとは、その名の通りロボット=AI(人工知能)が自分に合ったポートフォリオ(資産配分)のアドバイスや独自のアルゴリズムに基づいた金融商品の買い付けや売買を、自分の代わりに行ってくれるサービスです。
投資とは、株式、FX、ETF、投資信託などさまざまな種類がありますが、それなりの投資知識がなければうまく運用できません。しかし、ロボアドバイザーに任せれば、代わりに最適な投資を行ってくれるのです。
ロボアドバイザーには、「アドバイス型」と「投資一任型」とがあります。
- アドバイス型
- いくつかの質問に答えて、自分の資産状況や知識に合わせた金融商品を提案してくれます。その提案を踏まえて最終決定は自分で行い、投資の管理。
- 投資一任型
- アドバイス型に加えて、金融商品の選定と運用などの投資全般を行ってくれます。
ここでは、自分の資産を預けることになる「ロボアドバイザー」の仕組みについてご紹介しましょう。
「ロボアドバイザー」利用の際の手順とは?
まずは、ロボアドバイザーが利用できる会社を決めます。
- 口座を作成する
投資を始める会社に口座を作りましょう。 - 簡単な質問に答える
目標金額やリスク許容度の設定などを行います。 - ロボアドバイザーにより、最適な運用コースとシミュレーションが提示される
AIによる金融アルゴリズムにより質問の診断結果として、自分に合った資産配分(ポートフォリオ)を自動で構築してくれます。 - 気に入ったら口座に入金する
運用資金を口座に入金します。 - 自動でロボアドバイザーが運用する
最適なタイミングと配分で、AIが自動で金融商品を買い付けて自動で運用を始めます。
運用中のロボアドバイザーの仕事とは?
運用を始めたら、利用者はほったらかしでもロボアドバイザーが運用してくれます。その働きぶりはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
- リバランス
- 資産運用の状況をチェックし、基本のポートフォリオ(資産配分)が崩れてきたら自動で調整します。
- 再投資
- 運用利益が出た場合には、その分を投資に回し運用効率を高めます。
- 配分見直し
- 中長期的な見通しに変更があれば、資産配分の見直しが行われます。
- 増額
- 追加投資をした場合は、基本のポートフォリオに近づくように新たな金融商品が購入されます。
- 減額
- 一部解約をした場合は、基本のポートフォリオに近づくように既存の金融商品を売却します。
- 運用コース変更
- 運用コースを変更した場合は、基本のポートフォリオになるように、金融商品の売買が行われます。
ロボアドバイザーってバランス型投資信託とどう違うの?
投資信託の中にはバランスファンドといって世界中の株式や債券、不動産投資信託などがパッケージングされている商品がありますが、これとロボアドバイザーとはどんな点が違うのでしょうか。
※ここでのロボアドバイザーは、「投資一任型」とします。
バランスファンドは利用者自らが選定したバランス型金融商品を投資のプロが運用しますが、ロボアドバイザーはAIが金融商品を選定し運用します。
つまり、バランス型投資信託は利用者が自ら選んだ金融商品を購入するのに対して、ロボアドバイザーはロボアドバイザーに投資全般を行ってもらう契約を結ぶという違いがあるのです。
ロボアドバイザーの投資契約をすれば、投資の知識がなくてもロボアドバイザーが全て金融商品の選定やバランス、運用を行ってくれるのですね。
最初が肝心!自分に合ったロボアドバイザーの選び方
各社によってロボアドバイザーの機能は多少異なります。初めてロボアドバイザーを利用しようと思っている人は、どの会社のロボアドバイザーがいいのか選ぶのに困ってしまいますよね。
ここでは、資産運用に失敗しないための自分に合ったロボアドバイザーの選び方をご紹介しましょう。
「アドバイス型」か「一括投資型か」で選ぶ
ロボアドバイザーには、「アドバイス型」と「投資一任型」とがあり、自分の投資方法を選ぶことができます。
「アドバイス型」は、ロボアドバイザーの投資方針のアドバイスにより資産配分を決めることができますが、自分で運用管理する投資方法です。
その名の通りアドバイスをしてくれるだけですが、配分や商品に悩んでいる場合には解決の糸口をつかめるでしょう。
ある程度投資の知識がある投資経験者向けと言えます。
一方、「投資一任型」とは、ロボアドバイザーが提示した投資方針を承認すればロボアドバイザーが全て運用してくれる投資方法です。
自分の目標金額やリスク許容度を加味した資産配分や金融商品を運用までしてくれるので、投資初心者や資産運用に対しての未経験者向けと言えます。
ロボアドバイザー利用の際の手数料で選ぶ
各会社によって手数料の額や設定が異なるので、しっかりと手数料を確認しておきましょう。
「アドバイス型」は無料で行っている会社が多いですが、「投資一任型」は1%前後の一任報酬を払わなければなりません。投資信託の手数料に比べると高いですが、それなりの仕事をしてくれると考えれば妥当です。
しかし、長期的な投資を考えると手数料の違いは大きな差になるので、できるだけ安い方がいいに決まっていますよね。
ロボアドバイザーの実績で選ぶ
ロボアドバイザーの歴史は短いですが、利用したいと思っているロボアドバイザーの実績を確認してみましょう。
各会社の公式サイトにこれまでの運用実績が公開されているので、比較検討してみることをおすすめします。
徹底比較!注目されているロボアドバイザーの代表格はコレ!
歴史が浅いロボアドバイザーですが、注目されている代表的なロボアドバイザー「ウェルスナビ」「THEO(テオ)」「楽ラップ」をご紹介しましょう。
ただし、どのロボアドバイザーも運用方法は年金運用スタイルで、長期運用が基本です。
税負担軽減の機能がある「ウェルスナビ」
運用益の税負担を自動で最適化する機能があるウェルスナビは、みずほ銀行などの大手金融機関や政府系ベンチャーが出資している業界大手のロボアドバイザーです。
- 税金自動最適化機能(DeTAX)
- 分配金の受け取りなどで税負担が4000円を超え、保有銘柄に含み損がある場合に、損金を実現化して税金を翌年以降に繰り延べる機能が搭載されています。
- 国際分散投資
- 6~7の海外上場ETFを通じて世界約50の国、11000銘柄に分散投資します。
- 安心への取り組み
- 一人につき1000万円までの補償制度や二段階認証によるアカウントの保護、全ての情報や通信の暗号化などにより、安心して利用できるシステムを搭載しています。
- 手数料
- ウェルスナビのロボアドバイザーの手数料は、預かり資産の年率1%(税別)です。3000万円を超える部分については年率0.5%(税別)となります。
その他、振り込み以外の入出金の手数料は無料で、為替手数料やリバランス機能なども無料となります。
- 最低投資額
- ウェルスナビのロボアドバイザーの最低投資額は10万円で、運用資金を積み立てる自動積立は月1万円~となります。
3つの機能ポートフォリオの組み合わせで運用する「THEO(テオ)」
金融ベンチャー企業”お金のデザイン社”が提供するロボアドバイザーです。
日本のロボアドバイザーではTHEOだけのシステムである3つの機能ポートフォリオの組み合わせで構成するポートフォリオで運用を行います。
- 3つの機能ポートフォリオ
- AIの診断結果により231通りの中から最適なポートフォリオが作成され運用されます。
THEOでは、3つの性質の異なる機能ポートフォリオを組み合わせて利用者の目的に合わせたポートフォリオを構築します。- 長期的に高いリターンを狙う「グロースポートフォリオ」
- 着実にリターンを狙う「インカムポートフォリオ」
- リスクの軽減を狙う「インフレヘッジポートフォリオ」
- 国際分散投資
- 投資先は世界86の国や地域、投資対象は11000銘柄以上となり、徹底的な分散投資でリスクの軽減を図っています。
- 安心への取り組み
- 投資者一人当たり1000万円までの補償制度や第三者の不正出金を防止するシステム、マイナンバー管理体制の導入、サイバーセキュリティシステムの導入など、利用者の資産と個人情報を守るための最大限の取り組みが行われています。
- 手数料
- 業界最低水準の手数料を自負するTHEOは、預かり資産額によって手数料が細かく分かれています。
預かり資産額 税別・年率手数料(税別) 割引率 1万円未満 1% 1万円以上50万円未満 0.9% 10%オフ 50万円以上100万円未満 0.8% 20%オフ 100万円以上1000万円未満 0.7% 30%オフ 1000万円以上 0.65% 35%オフ その他、振り込み以外の入出金の手数料は無料で、為替手数料やETF取引手数料なども無料となります。
- 最低投資額
- テオのロボアドバイザーの最低投資額は1万円で、運用資金を積み立てる自動積立は月1万円~となります。
相場急変時のリスク回避機能がある「楽ラップ」
楽天証券が提供するロボアドバイザー楽ラップには、株式市場の値動きが大きい状況が続いた場合に、下落ショック軽減機能(TVT機能)が付いた楽ラップならではのコースがあり、価格の変動を軽減したいという利用者におすすめです。
- 下落ショック軽減機能(TVT機能)
- 株式市場の値動きが大きく変動し継続することが見込まれる場合に、一時的に株式の配分を下げて債権の配分を上げることで大きな下落を防ぎ、相場が落ち着いたときに通常の配分に戻すシステムです。
- 国内投資信託
- 株式(国内・先進国・新興国)、債券(国内・先進国・新興国)、REIT(国内・先進国)などを対象とするインデックスファンドを扱っています。
- 手数料
- 楽ラップでは、運用資産残高に一定の比率をかけた固定報酬を毎月支払う「固定報酬型」と固定報酬に加えて運用成果に応じて報酬を支払う「成功報酬併用型」と二種類の手数料コースから利用者が選ぶことになります。
ただし、一度決めたら一年間は手数料コースの変更はできないので注意しましょう。- 固定報酬型 最大年率0.715%(税込み)
- 成功報酬併用型 固定報酬:最大年率0.605%+成功報酬:運用益の5.5%(全て税込み)
その他、投資運用費であるファンド費用は最大で年率0.248%かかります。
- 最低投資額
- 楽ラップの最低投資額は10万円で、運用資金を積み立てる自動積立は月1万円~となります。
始める前に知っておこう!ロボアドバイザーのメリット&デメリット
「ロボアドバイザー」を使って投資を始めたいと思っている人は、事前にロボアドバイザーを利用する際のメリットとデメリットを把握しておきましょう。
やってみたい!が加速する【ロボアドバイザーのメリット】
ロボアドバイザーは、投資初心者や忙しい人にとって投資するメリットがたくさんあります。
- 投資の知識がいらない
- 金融アルゴリズムに基づいた資産運用を自動で行ってくれます。
- 低コストで資産運用ができる
- 人の手によって運用を行うと手間暇がかかってしまいますが、ロボットが全て自動で行ってくれることを考えると低コストと言えるでしょう。
- 自動リバランス機能がある
- 投資開始時のポートフォリオを基準に定期的にモニタリングをしてポートフォリオが崩れた場合には、自動でバランスを整えるリバランスの機能が備わっています。
- 資産の分散投資ができる
- 円資産が多いリスクをロボアドバイザーによる世界的な資産分散を行うことで、リスク軽減につながります。
- ほったらかしにできる
- 投資戦略や経済情勢などを気にせず、ロボアドバイザーに任せておけます。
やるからには知っておくべき【ロボアドバイザーのデメリット】
ロボアドバイザーを利用するなら、デメリットも知っておく必要がありますよ。
- コストがかかる
- 信託報酬とは別に、運営・管理費用がかかる場合が多いです。
- 初期費用が高い
- 数百円から始められる投資信託に比べると、初期費用が1~10万円からという場合が多いです。
- 元本割れ
- ロボアドバイザーだからといって必ずしも利益が産まれるとも限らず、元本割れの可能性もあるのです。
- NISAが使えない
- 投資一任型ではNISAが使えないので、運用益に課税されます。
投資知識がなくても長期的な資産運用はロボアドバイザーで決まり!
「長期」「積立」「分散」が基本とされている投資ですが、ロボアドバイザーを利用すれば自動で最適な資産運用を行ってくれることがわかりましたね。
自分自身の人生設計を考える上でお金はとても大切ですが、ただ貯めるのではなく持っているだけだと価値が下がってしまう資産を増やすためには運用しなければなりません。
最新の情報により銘柄の分析や株価のチェックを行ってくれるロボアドバイザーは、投資初心者だけでなく忙しい毎日を送っている人にも好都合の投資システムです。
メリットだけでなく元本割れのリスクを常に伴っているというデメリットもしっかりと理解すれば、長期的な資産運用の一つの手段となり得るでしょう。