ふるさと納税には「ワンストップ特例制度」という仕組みがあります。
この制度を利用すれば、確定申告をしなくても住民税の減額を受けられます。
毎年確定申告をしてない一般的な会社員なら、ワンストップ特例制度を利用するのがおすすめです。
ワンストップ特例制度とは
ワンストップ特例制度とは、2015年4月1日から手続きの簡略化のために始まった仕組み。以下の条件を満たせば、ふるさと納税の確定申告が不要になる制度です。
- 会社員などで、もともと確定申告が不要な立場の人
- 一年間でふるさと納税の寄附先が5ヶ所以内の人
この制度により、確定申告というハードルが取り除かれ、ふるさと納税がより身近になりました。
個人事業主や年収が2,000万円を超える高額所得者といった確定申告が必要な人などは、ワンストップ特例の対象外。
ワンストップ特例が使えない人は以下の通りです。
- 個人事業主(自営業者)
- 6自治体以上にふるさと納税をした
- 給与収入が2000万円超
- 給与以外の収入(副業など)が20万円超
- 給与を2ヶ所以上からもらっている
- 医療費控除の申告をする
- 住宅ローン控除の申告をする(初年度)
- 株で損をして損益通算の申告をする
確定申告のやり方については「ふるさと納税をしたら確定申告を!確定申告書等作成コーナーの使い方」に記載しているので参考にしてみてください。
ワンストップ特例申請の流れ
以下から詳細にワンストップ特例申請の仕方を説明していきます。
Step.1 ワンストップ特例申請書を用意する
ワンストップ特例申請書については、ふるさと納税をするときに、一緒に申し込めるようになっています。
申請書を申し込むと自治体から書類が届きます。
ふるさと納税ワンストップ特例制度への対応は、さとふるが最も親切で簡単になっています。マイページから申請書をプリントできるんですよ。
申し込み忘れなどで、ワンストップ特例申請書が手元にない場合は「さとふる」や「寄附した自治体のホームページ」からダウンロードできます。
Step.2 ワンストップ特例申請書を記入する
ワンストップ特例申請書の書き方は以下の通りです。1〜5の必要事項を記入します。
必要項目の解説
- 提出日(記入した日)、寄附した自治体の首長(村長、町長、市長、県知事など)、氏名、フリガナ、住民票のある住所、日中連絡のつく電話番号、マイナンバー、性別、生年月日
- 寄附した日付(銀行振込、コンビニ、郵便振替、現金書留払いの場合は支払日・クレジットカード決済は申込日)、寄附金額※
- 確定申告をしないことの確認にチェック
- 寄附先が5ヶ所以内であることの確認にチェック
- 住民票のある住所、氏名
※同じ自治体に複数寄附した場合、その都度申請書を提出する必要あり
Step.3 申請に必要な本人確認書類を用意する
2016年1月のマイナンバー導入に伴い、なりすまし防止のために「個人番号確認の書類」と「本人確認の書類」の提出が必須となりました。
ワンストップ特例申請書と一緒に、以下のいずれかの書類を同封します。
マイナンバーカードを持っている場合
- マイナンバーカードの写し(両面)
通知カードを持っている場合
- 通知カードの写し もしくは 住民票(番号あり)の写し
- 顔写真付き身分証明書
顔写真付き身分証明書は、顔写真、氏名、生年月日、住所が記載されているもの。
顔写真が表示され、氏名、生年月日、住所が確認できるようにコピーします。
運転免許証、運転経歴証明書、パスポート、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、在留カード、特別永住者証明書、住民基本台帳カード(顔写真付きのもの)
顔写真付き身分証明書がない場合
- 通知カードの写し もしくは 住民票(番号あり)の写し
- 提出先自治体が認める公的書類2点以上の写し
公的書類は次のとおり。氏名、生年月日、住所が確認できるようにコピーします。
Step.4 申請書と本人確認書類を自治体に郵送する
申請書およびその他の必要書類の準備ができたら、ふるさと納税を行った自治体へ郵送します。
申請書が受理されると「寄附金税額控除に係る申告特例申請書受付書」が自治体から送られてきます。
Step.5 翌年6月からの住民税が減額される
ワンストップ特例制度を利用した場合、関係するのは住民税です。
この住民税は前年の課税所得によって金額が決まる後払い方式なので、ふるさと納税を行った翌年6月の住民税が安くなるという仕組みです。
また、控除される税金の詳細は6月ごろに送られてくる「市民税・県民税税額決定・納税通知書」でも確認できます。
ワンストップ特例制度を利用する際の注意点
申請書に不備があったり、提出期限などを過ぎてしまうと、税金の控除が受けられなくなります。ワンストップ特例を申請する場合は以下に注意しましょう。
申請書は1つの申し込みにつき1枚
ワンストップ特例制度の申請書は、1つの申込みにつき1枚が必要です。
たとえば、1つの自治体に5回寄附した場合、申請書は5枚必要になります。
自治体へ寄附金受領証明書を送らなくてOK
ふるさと納税をおこなうと、自治体から寄附金受領証明書が届きますが、ワンストップ特例制度の申請書に添付する必要はありません。
提出内容に変更があった場合は変更届が必要
ワンストップ特例制度の申請を行った後に転居による住所変更や入籍による氏変更など提出済の申請書の内容に変更があった場合、 翌年1月10日までに「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を寄附先の自治体に提出する必要があります。
所得税からの控除は発生しない
ワンストップ特例制度の適用を受けると、所得税の還付はなく、すべて住民税から控除されます。
所得税からの控除分については、所得税の減額分に相当する金額を申告特例控除額として住民税から控除します。
6ヶ所以上の申請するとすべての申請が無効になる
年間に6ヶ所以上の自治体にワンストップ特例制度の申請を行った場合、おこなわれたすべてのふるさと納税について、申請がなかったものとみなされます。
この場合、確定申告しないと税控除が受けられなくなるので注意が必要です。
確定申告をおこなうと申請は無効となる
ワンストップ特例制度の申請書を提出した後に確定申告を行った場合、確定申告書の内容が優先され、ワンストップ特例制度の申請はなかったものとみなされます。
ワンストップ特例制度の申請後に確定申告が必要になった場合は、ふるさと納税の寄付金控除も含めた内容で確定申告する必要があります。
申請書の提出期限は翌年1月10日必着
ワンストップ特例制度の適用を受けるには、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までに不備のない申請書を提出する必要があります。
書類を間違えると寄附金控除が受けられない
特例申請書や添付書類に不備があると、寄附金控除が受けられません。
不安な場合は寄附先の自治体に直接聞いてみるのがよいでしょう。
翌年1月10日を過ぎて不備に気づいた人は2月16日~3月15日の確定申告をおこなえば、自分の申告が優先されます。
ワンストップ特例制度ならラクラク手続き可能
ワンストップ特例の方法を解説しました。
ワンストップ特例の申告特例申請書は、自治体によっては書き方も同封されてきます。
初めての人でも簡単にできるので、ぜひふるさと納税をしたことのないかたも挑戦してみてください。